田中 洸×税所蓮嘉×栗生澤礼乙 全中選抜男子「オリンピック有望選手」トリオのイタリア座談会〔後編〕「デカい相手は倒したい欲が出る」
- 中学生
- 2025.03.23
今年2月にイタリアへの海外遠征に臨んだ令和6年度全国中学生選抜(全中選抜)。そのチームには昨年末の「JOCジュニアオリンピックカップ第38回全国都道府県対抗中学大会」(JOC杯)で個人賞に輝いた面々も名前を連ねた。今回、同大会で「オリンピック有望選手」に輝いた田中洸(高山中〔鹿児島〕3年)、税所蓮嘉(山之口中〔宮崎〕3年)、栗生澤礼乙(南越中〔福井〕3年)の3選手による座談会をイタリア滞在時に実施。お互いの印象や海外での学びを語ってもらった。〔後編/全2回〕
イタリアへの海外遠征を行なった令和6年度全中選抜男子
――今回、遠征で参加した「Nations Winter Cup」の予選グループ戦ではモンテネグロと3-2(25-19,19-25,23-25,25-15,15-13)の激闘を繰り広げました(座談会収録はその翌日)
税所 第1セットは自分たちのサーブやブロックで得点することができました。ですが、第2、第3セットはブロックとディグの関係性が悪くて、自分たちから流れを切ってしまった。そこでミスが続いて、チームの雰囲気が悪くなったのがセットを落とした原因です。第4セットが始まる前に、監督の三石雅幸先生から『求めるのは結果よりも内容だ』『思いきり走り回ってくるんだ』と言われて…。
田中 もう疲れなんか忘れて、めちゃくちゃ走りました。すると雰囲気もよくなって、いいプレーも出てきて、最終的に第4セットを大差で奪い返せました。
栗生澤 あの試合は、どのプレーもみんなすごかったと自分は思っています。
田中 みんながみんな、最後はミスを恐れずにボールを叩きにいっていたのが印象的でした。相手ブロックはもちろん高いけれど、それでも決めきっていたね。
税所 自分も、決めることができている、という感覚でした。
栗生澤 自分は途中交代でコートに入らせてもらったときに、『いいミートができた』と手応え十分のアタックが一度あったんです。ですが、ボールのゆくえを見たら、自分たちのコートに落ちていて。『やっぱり海外は高いなぁ』と実感させられました。
田中 高いよね〜。
田中 洸(たなか・ひかる)/高山中(鹿児島)3年/身長194㎝/最高到達点333㎝/アウトサイドヒッター、オポジット
――とはいえ、この先はその高さを攻略していく必要があります
税所 自分の武器はパワーで相手ブロックをはじくこと。ですが、捕まるときは捕まってしまいます。この大会中も、どシャットをくらった場面があったのですが、それを引きずると、以降のプレーに影響が出てしまう。なので、シャットされたあとこそ、ブロックを利用したアタックを心がけたり、捕まったとしてもプラスの考えで取り組んでいきたいと思いました。
田中 自分は高い打点からのアタックが持ち味で、今回の遠征でも相手ブロックの上から打つことができていました。武器にできたのは、1年前の遠征でイタリアに思いきりブロックされた経験があったから。今回も何度かブロックに捕まる場面はありましたが、引きずっていても成長につながらないので。とにかく打点を高く、そこからコースを打ち分けることを意識して、あとはミスを恐れずに臨んでいます。仮にミスをしても、早く切り替えればいいわけですから。
栗生澤 自分はどうしても相手ブロックがつくと、下に、下に、打とうと考えてしまうことが多くて、この遠征でも何本か止められました。なので、ブロックを利用したアタックが必要になってきますし、コートに立ったときに自分に求められる役割を理解したうえで活躍できるように頑張りたいです。
税所蓮嘉(さいしょ・れんが)/山之口中(宮崎)3年/身長189㎝/最高到達点327㎝/アウトサイドヒッター,オポジット
――次の、高校のステージではお互いに対戦相手となります
税所 九州の高校に進むものどうしなので、ヒカル(田中)とはしょっちゅう当たることになると思います。
田中 これからも気持ちは仲間だけれど、敵でもあるので。やるからには負けたくないし、でも尊敬しながら頑張りたいです。
税所 これまでの対戦成績だと自分は負けた数のほうが多いので、高校では倒したい気持ちはあります。でも、高校になってもヒカルのプレーを見て、いいところは盗んで、自分のプレーに生かしたいですね。
栗生澤 自分は北信越ブロックになるので、九州勢の2人と対戦する機会はそれほど多くはないかもしれません。だからこそ全国大会に進んで、また同じコートでネットをはさみながらでもバレーボールをしたいなと思います。
税所 負けないよ?
田中 やるからにはボコボコにしたいです(笑) レオトはやっぱり大きいので。自分よりもデカい相手には倒したい欲が出てしまいます。
栗生澤 お、おう。
田中 今回の海外遠征でもそう。そんな相手を倒しにいくのが、また楽しいんです。
栗生澤礼乙(くりうざわ・れおと)/南越中(福井)3年/身長194㎝/最高到達点322㎝/ミドルブロッカー,オポジット
(取材・写真/坂口功将)
発売中の月刊バレーボール2025年4月号には全中選抜男女のイタリア遠征の模様を掲載!
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