月バレ!ザ・ワールド/vol.5-アンドレア・ドルーズ-
- SV女子
- 2020.03.15
ハロー!! 月バレ編集部のGUCII(グッチー)です。さて、クラブシーズンも日本のV.LEAGUEは閉幕し、いよいよ代表シーズンが始まります。とはいえ、欧州を中心にコロナショックの影響も及び、厳しい状況が続いていますが…。今回は2019-20 V.LEAGUEを彩った、パワフルサウスポーを紹介。
それではご一緒に。月バレ!ザ・ワールド!
【GUCIIの 月バレ! ザ・ワールド】vol.5
■ライジングスター、アンドレア・ドルーズは努力と学びの人
3月14日(土)に発売された本誌『月刊バレーボール』の人気企画「ハイQランド」では2019-20 V.LEAGUE DIVISION1 WOMENで優勝したJTマーヴェラスを紹介している。1月26日(日)に行われた岡山シーガルズとのV・ファイナルステージグランドファイナル(決勝)で、JTはフルセットの熱戦を繰り広げた。その立役者となったのが、チーム最多36得点をあげたオポジットのアンドレア・ドルーズだ。(V.LEAGUE登録名はドルーズ,アンドレア)
2019年の代表シーズンで大ブレイク
ドルーズは2019-20シーズンからJTに加入。その強烈なスパイクで得点を量産し、サーブでも効果率17.3%のリーグトップの数字をあげてサーブ賞に輝いた。シーズンを通して“助っ人”役をまっとうし、中でもハイライトは決勝戦の最終第5セット。コースを見極めながらフルスイングで繰り出したスパイクは、鬼気迫るものを感じさせた。
そこから一転、試合後は「とにかくやるしかない、と思っていました。必死だったので、打って、打って、打ちまくりました!」と笑顔。もっとも決勝を前に「特にディフェンスがいい岡山を相手に、チャンピオンシップが懸かっていたので緊張はありました」と明かした。
それでも大一番での勝負強さは、彼女の真骨頂ともいえるもの。アメリカ女子のオポジットとして本格的に頭角を現したのは2019年シーズン。その年のネーションズリーグでレギュラーに抜擢されると、尻上がりに調子を上げて、ブラジルとの決勝戦では両チーム通じて最多の33得点をマーク。アメリカ女子を大会2連覇に導くとともに、自身も大会MVPに選ばれ一躍その名を世界に知らしめた。
その後は秋のワールドカップバレーでも豪打を炸裂させ、大会のベストオポジットに輝いた。
2019年にブレイクしたドルーズだが、指揮官の口からは、その人柄の良さが高く評価されていることがわかる。例えば、ワールドカップでアメリカ女子のカーチ・キライ監督に聞いたところ、「ネーションズリーグでMVPにも選ばれ、とても強い選手に育ってきています。彼女のいいところは、学習して身につけるまでが早いこと。常に自分自身のパフォーマンスを伸ばそうという努力を続けています」との評価だった。
「これからもずっと学び続けたい」とドルーズ
また、JTの吉原知子監督も「ほんとうに彼女はチームプレーヤー。すごくポジティブな考えを持った選手で、周りへの心配りや勇気づけることができる。周りが彼女に助けられたり、反対に彼女も周りの選手たちに助けられたり、と非常にいい関係性が、試合を重ねるごとに築かれていました。そうしてチームとしてもよくなったと感じています」と、チームの成長に大エースの存在を重ねた。
当の本人にとっても、初めてのV.LEAGUEは収穫と学びの場になったそうで、「日本のバレーボールはこれまで私がアメリカで経験してきたスタイルとはまるで異なりました。特にJTは戦術をしっかりと立ててからゲームに臨むチームなので、その点で学べたことはたくさん。何より一人一人がチームに貢献する意識が素晴らしく感じました」と振り返る。
クラブシーズンを終えて、次は代表での活躍が期待されるところ。その彼女に、「JTでチームメイトだった芥川愛加選手のブロックや小幡真子選手のレシーブが立ちはだかるかもしれませんね」と投げかけてみると、にっこりと笑顔を浮かべて、このように答えてくれた。
「今はお互いのことをかなり分かっていますからね(笑) でも、そのことはお互いにとっても強みになる部分だと思います。
2019年からずっとバレーボール漬けのシーズンで、その中で色々な経験をしてきました。ただ、それで満足することなく、これからも学び続ける選手でいたいです」
きたる国際大会で、さらなる成長を遂げたドルーズが日本の前に君臨するかもしれない。脅威であることには違いないが、楽しみだ。
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著者紹介:GUCII(グッチー/坂口功将)。2016年春入社。月バレ編集部に配属後、本誌で『WORLD VOLLEYBALL NEWSPAPER』、「月バレ.com」では『WEEKLY SERIE A』を担当。2018年は世界選手権の男女両ファイナルを取材した唯一の日本人記者という称号を獲得し、昨年はネーションズリーグ男子ファイナルラウンドの取材のため単身でシカゴへ。だが、英語が特に話せるわけではない。