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春高バレー月バレ便り

東福岡高 成就させた日本一への思い 夢をかなえた願望ノート【月バレ2021年3月号】

  • 2021.12.31

 

心身ともに成長した自粛期間

 

 日本一にたどり着いた選手たちにとって、大きな成長のきっかけとなったのがコロナ禍での練習だった。昨年4月、休校期間に入る前日、「藤元先生に『この期間に一番成長した、頑張れたチームが日本一になる』と言われていました。自分たちも初めてメンバーに入って、絶対に日本一になりたかった」と考えた葭原はノートにこう書きこんだ。

 

 ≪ノートで日本一、生活習慣で日本一、トレーニングで日本一の取り組みをこの臨時休校の期間でやり続けることで夏の日本一に一歩ずつ近づいていくと思う≫

 

 2月、九州ブロックの新人大会にレギュラーとして出場し、チームは優勝。それでも納得のいくプレーができず、悔しさを募らせていた。その思いから、一心不乱に練習に取り組んだ。ハードな内容のため2日に1回でいいと言われていたランメニューを自ら毎日取り入れた。100m、200m、400mを、設定タイム以内で10本ずつ走るという厳しいメニュー。しかもただ走るだけではなく、インターバルのタイムを短くした。その結果、体は悲鳴を上げ、足が疲労骨折。「まじめすぎる」と言われる坪谷でさえも「ちょっとおかしい」と言うほどの出来事。葭原も「この期間に懸けていましたが、裏目に出ました」と笑って振り返るが、それだけ思いは強かった。

 

 体だけでなく、心も変わった。午前中はオンラインを介して厳しいトレーニングに取り組み、食事をして午後の練習に向かう。その前に、藤元監督からは歴代の選手たちのセンターコートでプレーする姿や優勝時の画像とともに、モチベーションの上がる言葉が贈られた。そして、3日に一度は「道徳」の時間が設けられ、これまでの生き方や将来に思いを馳せた。「それまではプレーのよかったことや反省を書いていましたが、自粛期間からは自分が感じたことを多く書くようにしました。このときにどう考えていたかが、わかるようになってよかったと思います」(坪谷)。

 

ノートが成長のヒントに

 

 心と体を磨き上げ、自信を持って春高予選決勝に臨んだ。ところが、エースの柳北以外は初めて挑む大事な一戦で、まさかの事態が起きた。第1セットを先取したものの、そこから受け身になってしまい、九州産大付九州産に連続でセットを落とす展開。あとがなくなった中、エース柳北の大活躍で逆転勝ちしたものの、2年生は藤元監督が「これまでにないほどひどい」という状態で予選を終えた。

 

 葭原は悔しげに振り返る。「九州新人大会も、この試合も悠李さんに勝たせてもらって。自分たちが仕事を果たせないと春高では勝てないとずっと言われていたので、みんな勝つことだけを考えて、春高に向けて熱を入れました」。

 

 攻撃がうまく決まらなかった中、葭原は自身に問うた。自分の武器は何か――。そんなときにノートをめくると、自らの足跡の中にヒントがあった。記していたのは、「体が前に突っ込んでいたら、いいスパイクは打てない」ということ。セッターの近藤蘭丸には体とネットの間が空いたトスを要求し、練習を積み重ねた。スパイクの質は徐々に変わった。

 

 自問自答を繰り返したのは、エース柳北も同じだった。予選決勝でスパイク決定率が70%を越える活躍を見せたが、自身の体重をコントロールできず、一時は100kg超え。春高予選に向けてベストな体を目指してきたものの、設定していた期限に目標の数値まで落とせないこともあった。自らに負けてしまわないよう、戒めを込めてノートに思いを書き込んだ。

 

≪自分が本当に、まっとうな嘘のない人間で、自分の体重をおとして、キープできるようになり、本気で日本一を目指したら、日本一まではとおくないと思う≫

 

 自ら書き込んだ言葉を、思い出しながら練習に取り組んだという。

 

 

柳北はチームに迷惑をかけるふがいなさをノートに書いた

 

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