舛本颯真「日本一になって終わりたい」 厳しいゾーンを突破へ1ヵ月右ひざの回復に専念
- 2023.01.03
第75回全日本バレーボール高等学校選手権大会(春の高校バレー)が1月4日(水)に東京体育館(東京都渋谷区)で開幕する。春高で国体に続く全国二冠を狙う鎮西高(熊本)は、今大会屈指の激戦区に入った。「世代No.1エース」の呼び声高い舛本颯真キャプテンが、頂点への思いを口にした
舛本颯真(鎮西高[熊本])ますもと・そうま/3年/身長182㎝/最高到達点338㎝/龍田中(熊本)/アウトサイドヒッター
教室にそろった3年生の表情がどこか硬かった。春高の組み合わせが決まって初めて顔を会わせた日のことを、舛本は笑って振り返る。「みんな『やばいな』って言っていました。ちょっと苦笑いで」。鎮西高にとって初戦となる2回戦で、近畿王者の昇陽高(大阪)、インターハイ、国体でベスト4の松本国際高(長野)の勝者と激突。全国二冠を狙う最後の春高は、嵐の予感が漂う。
身長193㎝のエース秦健太郎を擁し、高さのある昇陽高には、昨夏のインターハイ3回戦で苦しめられた。舛本がバックアタックを決め、2度のジュースを制して勝利(27-25、32-30)したが、2セットとも先にセットポイントを奪われた。「ほんとうに高さがあるし、エースはパワーがある。左利きの選手(小山海皇)もいいスパイクを打ってきて、リベロ(日髙駿)はしっかりしています。攻撃も守りもできるチームなので、なんとか攻略して戦いたいと思います」。
インターハイでは苦しみながらも昇陽を下した
展開の早いバレーを仕掛ける松本国際高が勝ち上がれば、公式戦では今季初対戦。練習試合の結果は「五分五分」とこちらも一筋縄ではいかない相手だ。「ほんとうに早いバレー。コンビもあるし、粘りもすごいので、すべてのプレーが機能しないと勝てないと思います」と冷静に戦況を見つめる。
そして、互いに順当に勝ち上がれば、準決勝でインターハイ王者・東山高(京都)と戦う。今季初顔合わせで、全国二冠を争うライバルだ。いばらの道だが、宮迫竜司コーチの「日本一になるためには、どんな強い相手でも倒さないといけない」という言葉も受け、覚悟を決めた。
優勝した昨年10月の国体では、セッター平川天翔が舛本に頼らないトスワークを披露。井坂太郎、平田悠真らの活躍も光り、ライバルたちをざわつかせたが、鍵を握るのはやはりエースだ。本戦で力を発揮すべく、昨年11月12日(土)の県予選決勝後は、痛めていた右ひざの回復に専念。1ヵ月以上スパイクを封印したが、「意外に跳べるな、と。下半身のトレーニングもしているので、ジャンプ力は徐々に戻りつつあります」と手応えもある。最後の戦いへ、フレッシュな状態で挑む。
「まず初戦を勝って、順調に進んで東山と決着をつけたいので。ほんとうに負けたくないし、最後の大会なので、日本一になって終わりたいです」
2年生時はインターハイ、3年生時は国体を制し、この2年間は「世代No.1エース」の肩書きを背負い続けてきた。全国大会で手にしていないのは、昨年度準優勝に終わった春高のタイトルのみ。ライバルたちをなぎ倒し、2年越しの全国三冠で高校バレーを締めくくる。
舛本颯真
ますもと・そうま/3年/身長182㎝/最高到達点338㎝/龍田中(熊本)/アウトサイドヒッター
文/田中風太
写真/山岡邦彦、中川和泉
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