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春高バレー月バレ便り

全国二冠を目指す東山 鎮西高らライバル撃破へつかんだ手がかり【春高出場校の天皇杯④】

  • 2022.12.31

 

 

12月9日(金)に武蔵野の森総合スポーツプラザ(東京)で行われた令和4年度天皇杯全日本選手権大会ファイナルラウンド(男子)1回戦に、春高に出場する4チームが出場。Vリーグや大学生といった格上との対戦で、何を得たのか。最終第4回はV1男子の大分三好ヴァイセアドラーと対戦した東山高(京都)。ストレート負けを喫したが、春高の予行演習となった

 

 

バックアタックが光った尾藤

 

 東山高にとって初の天皇杯は、スコア以上の収穫があった。V1の大分三好に「15-25」「14-25」で完敗。だが、松永理生監督の声は明るい。「結果的には物足りない点数でしたが、攻撃をつくるうえでのすごくいいヒントをもらえました」。

 

 相手コートには身長2mを超える外国人選手が2人。高校生相手では体感できない高さ、そして強烈なサーブに圧倒された。身長207㎝の麻野堅斗が後衛に回り、前衛の高さが落ちるローテーションでは、特に連続失点が続く。第1セットは弱点がより目立つ形に。レシーブが乱れ、ハイセットとなったところを仕留められ、6本のブロックを許した。

 

 打開策として今試合でチャレンジしたのが、尾藤大輝のバックアタックだ。そのエースを欠く布陣だったとはいえ、国体の準々決勝では、身長190㎝を超えるブロッカーがそろう愛知県に突破口を見出せず敗れていた。大分三好の高いブロックと対峙するなか、指揮官の脳裏にその試合がよぎった。

 「今回と愛知県の試合がかぶっていました。打破できる場所を考えながら試合をしていましたが、やっぱりバックアタック。尾藤のレフト側のバックアタックを使うようにしたら、最後はしっかり打てるようになっていましたね」 

 左ひざが万全ではないアウトサイドヒッター花村知哉の状態が上がれば、さらに攻撃の迫力は増すだろう。

 

 

尾藤の対角として、期待がかかる花村

 

 春高予選決勝(対大谷高)で快勝しても、指揮官は「完成度は30%くらい」と満足しなかった。本番直前まで妥協しないのは、意識せざるをえないライバルの存在があるからだ。

 「なぜバックアタックを(攻撃に)入れないといけないか。僕がイメージしているのは鎮西高校さんのサーブです」

 

 京都府がストレート負けした愛知県に対し、国体決勝で鎮西高単独チームの熊本県はフルセットで勝利。井坂太郎、平田悠真の強烈なサーブで崩すと、強力なスパイカー陣が初優勝に導いた。

 ともに順当に勝ち上がれば、準決勝で今季初激突。サーブで攻められる可能性は高いが、今試合を経て、指揮官は「ビッグサーブで崩されても、高さで負けることがなく、後衛でしっかりと切れる気がします」と手応えをつかんだ。

 

 試合直後、松永監督は「バックアタックの絡み方が一つ武器になる。とことんやっていくよ」と選手たちに告げた。その思いに、セッター當麻理人は「ラリー中でもしっかりクイックを使ったり、バックアタックの有効打をもっと増やしていきたいです」とうなずく。全国二冠へ、東山高の完成型が見えてきた。

 

 

バックアタックに加え、日本代表#2麻野のDクイックなど幅のある攻撃を目指す

 

 試合結果は以下の通り。

大分三次ヴァイセアドラー2(25-15、25-14)0 東山高

 

文/田中風太

写真/中川和泉、石塚康隆

 

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