「どちらかが死ぬまで」コンビ継続⁉︎ 細田学園高のベテランタッグが描く指導者としての姿 【伊藤潔美監督×小川良樹エグゼクティブアドバイザー対談③】
- 2024.01.03
春高本戦を決め、万感の表情の2人
——ちなみに、このコンビはこれから何年続く予定でしょうか?
伊藤 どちらかが死ぬまでです(笑)
小川 そう長くは持たないかもしれない(笑)
伊藤 いや、まだまだです。先生はそれだけのキャリアを積んでいらっしゃるし、私もそれなりに積んできているので。それを選手たちに還元できるいい機会かなと思っています。
小川 いい還元ができればいいよね。年をとってみんなの迷惑になるのであれば離れたほうがいいなと思っていましたが、「そうならなきゃいいじゃん」という気持ちもあって。威張るのではなく、新人のように笛を吹いて、選手たちの中に入っていくぐらい率先して動けば、そんなにご迷惑にならないのではないかな、って。
この年代のコンビは、ほかにいないので(笑) 難しいですよね。若い人たちに「なんでいつまでもやってんの」と思われるのか「よくそこまでできるな」と思われるのかは。選手たちもやっぱり若い先生と一緒にやりたいと思いますよ。こんなおじさんとはやりたくないよって(笑)
伊藤 でも、そこにはない我々のよさがありますから(笑)
小川 あるかなぁ。わからないけど(笑)
伊藤 技術力は絶対にあると思います。
小川 そこですよね。教える技術や理論はひょっとしたら我々のほうが持っているかもしれない。情熱とかはちょっと負けてしまうかもしれませんが(笑)
選手たちにとっていちばん必要なのはやっぱりそこだと思います。きちっとした技術や、彼女たちをきちっと見る目、そして、正しく向き合う指導者の姿勢。そこで「信頼できるな、このおじさんたちは」と思ってもらえれば(笑) 指導者として、バレー界でこういうふうに年をとっていくのも悪くないよね、となればいいですね。
伊藤 我々の姿を見て、若い先生たちに学んでもらえればと思います。成徳もうちも、もともとは能力がない選手たちを育てるしかなかったんです。今はその指導法がギュッと濃縮されてきたことで、選手たちが育ってきているのではないかと思います。やっぱり、中学で仕上がっている選手でチームを組むのではなく、育てないとダメ。少しでもいい選手になるために、できることは最後までしたいと思います。
——そうなると、やはり「死ぬまで」ということになりますね(笑)
小川 ははははは! いやぁ、それはちょっとなぁ(笑)
取材/田中風太(編集部)
写真/山岡邦彦(NBP)
伊藤潔美(いとう・きよみ)
1959年11月3日生まれ/早稲田実高(東京)→早稲田大
小川良樹(おがわ・よしき)
1955年10月29日生まれ/早稲田大高(東京)→早稲田大
【伊藤潔美監督×小川エグゼクティブアドバイザー対談】
第1回・細田学園高のベンチに下北沢成徳高の小川良樹前監督!? 「もうバレーはないかな」から就任に至るまで
第2回・「女子はレシーブ」 固定観念を覆すブロック改革 小さいチームにもできること
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