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カレッジスポーツの社会的価値向上へスポーツブランディングの試み~日体大バレー&バスケ部より

  • トピックス
  • 2024.09.13

左から豊島錦也氏(スポルディング・ジャパン)、藤田将弘氏(日体大男子バスケットボール部監督)、根本研氏(日体大女子バレーボール部監督)

 

スポーツにおける「ブランディング」を重視する日本体育大学男女バスケットボール部の藤田将弘監督は、このたびSPALDINGの協力のもと「バレーボール部に(バスケット部と同じ)LIONSのロゴを使っていただくことで、また日体大に新たな歴史ができたと思う。これをどんどん広めていきたい」と話す。ここでは、女子バレーボール部の根本研監督を交えて、カレッジスポーツの現状とこれからについて語っていただいた。

 

日米におけるカレッジスポーツの文化の違い

 

――日本のカレッジスポーツの現状、NCAAとの比較などについて教えてください

 

藤田 日本は「する」だけのスポーツの歴史を歩んでいます。今は広く情報が得られるようになりましたが、この歴史の歩みは根強く、大学の中でもバスケットやバレーボール、それぞれのチームが頑張っているだけで、先週の試合でバレーボール部が勝ったのかどうかも、聞かなければわかりません。ほんとうは皆さん、学校内でスターじゃなきゃいけないんですよね。

 

根本 文化背景がまったく違います。我々も長年、4年に1回はアメリカに行ってさまざまな大学とゲームをしていますが、そこでの経験はとにかくワクワクしかしありません。

 日本のアリーナスポーツにおいてバスケットは成功していると思いますし、特にカレッジバスケでも、藤田さんの試合を見ると「いろんなことをやっているな」と感じます。一度、藤田さんがバレーのリーグ戦を見たときの印象深いひと言は「俺が中学生のときの試合とあんまり変わらないな」(笑) やはりアメリカのNCAAの、すごいスタジアムで演出があって、ゲームをする。あの感覚は文化が違いますね。そういうスポーツ文化を日本につくれるのか? と考えると、それはチャレンジングな話だと思います。バレーだけでは無理でしょうし、例えば今秋から始まるSVリーグとBリーグがタイアップしてみるなど、そんな時代に突入していかないと、全体でのムーブメントは起こせないと思います。

 アリーナスポーツはキャパシティーが決まっているなかでのやりくりですが、バスケの得意なところをバレーにもらって、一方でバレーのファン層がバスケにも波及するような、そんな環境をつくりたいですね。

 

 

 

変化していく文化とスタイル

 

根本 僕らはたまたま学年もほぼ同じ(藤田監督が1学年上)で「何か盛り上げましょうか」となればすぐお互いに「やっていこうか」と。ミニマムモデルでチャレンジしているところがあります。

 

藤田 きっかけとしては…、バレーボールってウェアが昭和的じゃないですか。まだバスケットがスポルディングとお付き合いする前に、いろいろと相談のなかで「バレーボール部は協力してくれると思うよ」という話をして。

 

根本 そこで話がきて、僕が乗ったという(笑)

 

藤田 それでバレーボール部が先にユニフォームを作りました。とにかく新しい風を吹かせるのは大変なことです。

 

根本 体育の教員が履いていた、フレアーというものに、あと白いポロシャツというスタイルは、実は日体大が元祖ですよね。

 

藤田 バスケットもそうでした。

 

根本 日体大が全国にそのバスケとバレーのスタイルを広めて、それを指導者がいろんなところに持っていって。白か紺じゃなきゃいけない、みたいな文化がずっとありました。

 

藤田 またそれを変えにいったのが、この時代の我々だったというだけのことです。

 

根本 そう。この時代、それで子どもたちが選ぶスポーツになるのかな、という思いもあって。

 

藤田 自分のチームを強くするのはあたりまえだけど、そういうビジョンを持ってやることも我々の使命だと思っています。

 

 

 

根本 単純に学生が着たいものを着ることが大事で、やはり「これかっこいい」「クールだよね」というものが取り入れられないと、カレッジじゃないですよね。スポルディングとは、最初にそういった話をしました。

 実はそのとき初めて知ったのですが、バレーボールのボールを初めて作ったのがスポルディングだったんですよね。僕はアメリカのコーチと出会ったり選手と触れたりしたときに、この雰囲気すごくいいな、と思いました。練習していると、ちょっと入れてよ、と一人でも言ってくる学生がいたりして。「おういいよ、入れよ」と応える。そのフランクな雰囲気や、スポーツが国境を越えていくようなイメージがすごく好きでした。

 あと、女子アメリカ代表監督のカーチ・キライが、オリンピックのビーチバレーで金メダルを取ったときのスポンサーもスポルディング。それらがリンクして「よし、スポルディングがバレーをやる、と言うならおもしろいな」と。そんなたまたまの連続から火が点いて、今に至っています。

 

藤田 そのあとでバスケットもスポルディングと手を結ばせていただき、いいロゴをデザインしていただいたので、バレーボール部も同じロゴをつけませんか、と。色は変えていますけど、ご提案しました。

 

根本 今のところ大学のバレーボールチームにはあまりロゴがないですね。

 

藤田 バスケットはロゴと愛称があります。

 

根本 学校にロゴがあったりしますね。ウチの大学はおもしろいのが、昔「補助金を出すからロゴを全部統一しろ」という話があったとき、誰も言うことを聞かなかったんです(笑)

 

藤田 ほんとうは全部LIONSと付けなければいけなかった。

 

根本 でも、いろいろなクラブで歴史が深すぎて(笑) バレーボール部はトリコロールを着ている長い歴史があって、なかなか変えられないという事情がありました。

 ただ歴史の中で、だんだんLIONSになっていく可能性はまだあります。そこでバレー部はこのカラー、というように色は変えてもおもしろいんじゃないかという気がします。

 

上が女子バレー部、下が男子バスケット部のロゴマーク

 

 

藤田 それはいいと思う。変えるのにはほんとうに時間がかかるので。だから根本先生に声をかけたように、これからいろんなクラブにも時間をかけてやっていこうと思っています。

 

根本 藤田さんが学友会会長になって(笑)

 

藤田 理事長の下の常務にもうロゴは持っていっています。我々が上にいかなきゃいけないんですよ(笑)

 

根本 正直、僕はカラーで遊んでみたり、ロゴを一緒にしてみたり、そういうのがおもしろいのかなという気がします。駅伝はニッタイブルーというカラーで、ほんとうはあれを全チームが使わなきゃいけないのでしょうが、うちはチームというかそれぞれのクラブが際立ってきた歴史があるので、なかなかみんなやらないですね。

 

藤田 でも我々のときの先生はもう退職されたりして、指導者がどんどん変わってきた。今は40~50代の先生方がクラブを見ていらっしゃる。

 

根本 そこまで大体20年くらいかかっていますね。

 

藤田 これからまた変わる余地はあると思います。(つづく

 

 

 

<SPALDING担当者より>

吉岡信一氏(チームスポーツ企画リーダー) 

ユニフォームの大学名も以前は漢字だったのですが、アメリカブランドなのでNSSUにしましょうとご提案し、乗っていただきました。バレーは歴史が長いため伝統校では難しいのですが、「日体大さんはこういう経緯でうちに変えていただいて、実はチーム名もアルファベットにさせていただいたんです」と話をしますと、ほかのチームの皆さんもすぐご理解いただける印象です。バスケットはすでにたくさんブランドがあるので、各校でごひいきにしているメーカーさんがあり、そう変わってはいかないのですが、バレーボールはメーカーが少なかったので、いろいろなことができています。まだ新しさがある分「え、そうなんですか」という反応があったりして、いろんな学校に(メーカーを)変えていただきました。

豊島錦也氏(シニアセールスマネージャー) 

スポルディングの見据えるものにつきまして、両監督にも言われたように、大学スポーツは学費だけではなくて部費や遠征費、寮費など多額な費用がかかるなかで、現状日本では協賛のメーカーや企業が少ない。ですから大学でスポーツを継続するという選択ができない高校生もいたりします。大学も、部活に経費を割けない、支援はできないというところが結構多いのが実情ということでした。我々としてはアメリカンスポーツのように企業が協賛し、学生の支援や地域貢献などを行うことによって、これもお2人から聞いた言葉ですが、カレッジスポーツの地位の向上につながる、ということでしたので、そこは喜んで協賛させていただくことに同意しました。スポルディングジャパンとしては、いいものを納品することは当たり前ですが、それだけではなく、お2人のような革新的な考えを持っている先生や学校、競技団体などには今後もどんどん協賛、協力したいと考えています。

 

豊島錦也シニアセールスマネージャー

 

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