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月バレ!ザ・ワールド/vol.9-ヤクプ・コハノフスキ-

  • コラム
  • 2020.05.04

 ハロー!! 月バレ編集部のGUCII(グッチー)です。さて、本誌では5月号に続き、6月号(5/15発売予定)でもインタビューを元に『世界の育成事情』について取り上げています。ぜひ、そちらをご覧いただきたいところですが…、こちらのコーナーではアンダーエイジカテゴリーで活躍し、シニアでも注目の選手を取り上げます。(Photo:FIVB

 それではご一緒に。月バレ!ザ・ワールド!

GUCIIの 月バレ! ザ・ワールド】vol.9

■ポーランド男子の未来を担う男、ヤクプ・コハノフスキ

Jakub Kochanowski<ヤクプ・コハノフスキ/身長199㎝/最高到達点353㎝/1997年7月17日生まれ/ミドルブロッカー>

 

 2014年の世界選手権では地元開催の期待に見事応えてみせ、その4年後には圧倒的な強さで世界選手権2連覇を果たしたポーランド男子。その強さを支えるのは、キャプテンのミハウ・クビアクや、世界屈指のスコアラーであるバルトシュ・クレクらトッププレーヤーたちだ。また、昨年には元キューバ男子のウィルフレド・レオンも代表入りを果たし、きたるオリンピックではいよいよ金メダル獲得を視界に収める。なお、大会は延期となったが、フィタル・ヘイネン監督が来年も指揮を執ることが決まった。

 

 そのポーランド男子はこの4年間、国際大会においてその強さをまざまざと見せつけているわけだが、その一方で、代表の底上げも着実になされている。現に、昨年のネーションズリーグでは、クビアクやクレクを抜きにした若手選手主体のチームがフルメンバーのブラジルを撃破した。

 

 台頭が光るのは2016年から2017年のジュニア世代。背番号「99」が目を引くノルベルト・フベルや、強打が持ち味のバルトシュ・クフォレク、そして新鋭ミドルブロッカーのヤクプ・コハノフスキといった面々が並んだ当時のジュニア男子は2016年のU20ヨーロッパ選手権、翌年のU21世界選手権をいずれも無敗で制した。いわば有望株がそろった世代なわけだが、なかでもコハノフスキはすでにシニア代表の一角を担えうるほどの高いポテンシャルを備えている。

2017年のU21男子世界選手権でMVPに選出されたコハノフスキ(写真右)

2018年世界選手権では堂々とプレーし、2連覇に貢献

 

 筆者が彼の存在を知ったのは2017年のU21世界選手権。コハノフスキは同年代をリードする存在であり、ジュニア男子ではキャプテンを務めていた。2017年のU21世界選手権ファイナルのキューバ戦ではチャンピオンシップポイントからクイックを決めて歓喜をもたらすとともに、個人としては大会MVPに輝いた。

 

 そうして翌2018年の世界選手権にはシニア代表の一員として出場を果たす。とはいえポーランド男子といえば、同じミドルブロッカーにはピヨトル・ノバコフスキやマテウシュ・ビエニエクといった実力派選手がそろい、コハノフスキの出番は限られた。

 

 それでも、セミファイナルのアメリカ戦では一進一退の攻防が続く中、第3セット開始時からコートに立つと、サービスエースにブロックポイントと随所で活躍。続くファイナルでも第2セット中盤から出場し、ブラジルを前に堂々とプレーしてみせる。やがて、2大会連続の世界王者に輝く瞬間を味わったのであった。

 

 その後、表彰式を終えてミックスゾーンを通る際に、筆者がポーズを要求すると、金メダルをガブリ。端正なマスクとキリッとした目つきが印象的なコハノフスキは、満面の笑顔をこちらに向けてくれた。

世界選手権の金メダルをくわえて記念の一枚!!

「すべての戦いに勝利すること」が代表のミッション

 

 このときの写真は人を介して本人の元へ渡ったそうで、「あなたが撮ったの!? あの写真は、僕の人生の中でも最高の一枚なんです」と喜びの声を直接聞かせてもらえたのは、昨年のワールドカップバレーだった。

 

 世界一に輝いてから1年後、彼はシニア代表としてのメンタリティを身につけていた。アンダーエイジカテゴリーからステップアップを遂げた今、コハノフスキは「メダルを取るために何をすべきか、そのすべてをいつも周りの選手たちから学んでいます」と語る。

 

 そのワールドカップバレー2019は大会2日目、10月2日の日本戦で第3セット途中から出場したコハノフスキは、日本の速さある攻撃に対して、磨きがかかったステップワークから高いブロックを繰り出した。試合後、ミックスゾーンで話を聞くと、「日本のアタックはとても強く、敬意を表したいです。世界でも、いいチームの一つだと感じています」と印象を語り、「たくさんの観客に囲まれて、素晴らしい雰囲気を味わうことができました」と振り返ってくれた。

 

 彼が話すに「すべての戦いに勝利すること」が代表のミッションであるという。その上で、「メダルを取りたい。金色ならベストです」と微笑んだ。

 

 これからもしばらくは世界上位の座を譲ることはないであろうポーランド男子。次世代を担う選手たちの存在が、そのことを大いに予感させる。その中心にいるのは、おそらくヤクプ・コハノフスキ、この人だ。その名を覚えておいて、損はない。

今後さらなる活躍が期待される

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<画:大嶽あおき>

著者紹介:GUCII(グッチー/坂口功将)。2016年春入社。月バレ編集部に配属後、本誌で『WORLD VOLLEYBALL NEWSPAPER』、「月バレ.com」では『WEEKLY SERIE A』を担当。2018年は世界選手権の男女両ファイナルを取材した唯一の日本人記者という称号を獲得し、昨年はネーションズリーグ男子ファイナルラウンドの取材のため単身でシカゴへ。だが、英語が特に話せるわけではない。

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